第1話 娘よりかわいい

女将
「○○さん、キレイに散髪して、一層男前になりましたねぇ。何もうちへ来るから言うて、そんなパリッとして来んでもよろしいのに・・・」


○○さん
「いやぁ、昨日な、娘夫婦が孫を連れて帰ってくる言うから、あんまりボサボサ頭やったら、娘に、
「お父さん、もっとキレイにして」って言われるのわかっとるから・・・わしも気ぃつかうわ。」


女将
「やっぱり娘さんにとって、お父さんは自慢したい存在の男性なんですよ。」


○○さん
「そやけど、孫ってかわいいなぁ。女将の方が先輩やけど、今頃よその子見てもかわいいっとは思うけど、そのかわいさが違うわ。
そら、かわいい!」


女将
「みなさん、そう言わはりますわ。」


○○さん
「これ見てくれ。孫や。どや?かわいいやろ。」


女将
「ワァ!目が大きくてお人形さんみたい。かわいいですねぇ~ ○○さんのお嬢さんやったら、さぞかしお綺麗でしょうねぇ。」


○○さん
「わしな、今まで娘がかわいい思うてたけど、もう今頃は不細工に見え出したわ。孫ってえらいもんやなぁ。。」




  


第2話 ゴルフ場

 女将
「○○さん、えらい日焼けして・・・ゴルフでしたの?」


○○さん
「先週は、××ゴルフ場で今週は△△ゴルフ場やったんやけど、××ゴルフ場の方がえぇな。」


女将
「そらぁ、××ゴルフ場言うたら値もえぇでしょう?」


○○さん
「キャディの教育も行き届いとるわ。」


女将
「そうでしょうねぇ。」


他のお客さん
「わしわな、いつも■■ゴルフ場やけど、あっこも社員教育しっかりやってるで。 ほんで又べっぴんさんが多いねん」


女将
「やっぱりどこともみんな競争ですもんねぇ~」


他のお客さん
「そやそや・・・」




  


第3話 こりもせんと

女将
「あら~っ ○○さんお久しぶりですねぇ。」


○○さん
「何言うてんねん、昨日来たやないか。」


女将
「こんな商売はな、昨日来てても久しぶりって言わんといかんねんって言うたはったでしょ。そやから、その通りにしたのに・・・」


○○さん
「今日一緒に来たこの人は、僕の幼馴染やからえぇねん。」


女将
「あっ!そうなんですか。じゃ随分長いお付き合いですねぇ。こりもせんと・・・」


○○さん
「それは僕のセリフや!」




  


第4話 帰り時

女将
「○○さん、さっきからえらい時間気にしたはりますけど、どうしはりましたん?」


○○さん
「いやぁ・・・もう家内が寝たかなぁ思てな・・・中途半端に帰ったらうるさいねん。」


女将
「○○さん、奥さんは身体の事を心配したはるんですよ。」


○○さん
「分かるけどな。人がえぇ気持ちで帰ってるのに、グチグチ言われたら酔いが冷めるでぇ~」


他のお客さん
「そやそや!!」




  


第5話 入れ歯

女将
「あら~○○さん、今日はお一人ですか?」


○○さん
「うん 歯医者行っての帰りで ママちゃんの顔だけ見て帰ろう思ってな」


女将
「まあ まあ それはありがとうございます。虫歯の治療ですか?」


○○さん
「いいや 入れ歯がガタガタしてなぁ 入れ歯で思い出した。聞いてくれる?。」


女将
「はあ 何かあったんですか?」


○○さん
「この前 3歳の孫の前で入れ歯外したんや ほんだら 孫がな 自分の歯を外しにかかって「お爺ちゃん僕の歯 外れへ~ん」言うて泣くんやおもろおてな~ 笑うたで」


女将
「かわいいですね~私もラジオで聞いたんですが、お爺さんが小学生の孫の机の引き出しに入れ歯を入れて忘れてたんですって 学校から帰って来たお孫さんは引き出しを開けて「キャー 机が笑ってる~」って大騒ぎやったらしいですよ」




  


第6話 忘れ物

女将
「スナック○○のママさん、今日はゴルフだったんですか?」


○○さん
「前から 一回一緒に行こうって誘われてて やっと今日実現してん」


女将
「そうですか  如何でした?」


○○さん
「100あっちこっち位かな?最近あかんわ」


女将
「凄いですね。私なんか参加するだけですわ。 この前なんか△△さん達と行ったんですけどね 
着替えを入れたかばんを車の横に置いて放りっぱなしで帰ってきて恥ずかしかったですわ」


○○さん
「まだ かばんやったらましなほうよ 私なんか脱衣所に全部置きっぱなしで帰ってきてしもうて・・・ 2度とそこへは、よう行かんわ」


女将
「まあ そんな事あったんですか でもロッカーやったらママさんって分かりますけど、風呂やったら誰のか分かりませんやんか?」





  


第7話 嫁姑

女将
「○○さんのお話でいつも感心させられるのは 奥さんとお嫁さんが実にうまくかかわっておられるなあと思うんです。
お互いが賢いのでしょうねえ?」


○○さん
「そら 何もトラブルが無いってことはないよ 女房はわしに言うてくるで」


女将
「そしたら○○さんはお嫁さんに ああじゃ こうじゃ言わはりますの?」


○○さん
「いいや 何にも言わん。」


女将
「でも 奥さんは問題を解決してほしいと思うんですけど・・・・・」


○○さん
「ただ 一言「この家の主はこの俺や!俺は争いは嫌いなんじゃ」って言うだけ。」


女将
「流石!○○さん。大岡裁きですね。何かの本で読んだ事がありますわ 
「どんなに枝や葉っぱが揺れようが幹が太くしっかりしていれば動じる事は無い」って」


○○さん
「そうやで まあ それぞれ多かれ少なかれ辛抱しとるわな。そうでないといかんのや」


女将
「そうですね 我慢もせんと自分の主張を通そうとしたら争いが生じますもんねえ・・・・・でも以外でした
○○さんやったら二人を呼んで話し合いをさせはるんかなと思ったんですが今日はいい勉強をさせて頂いてありがとうございます。」




  


第8話 いじめ

女将
「又、いじめが原因で自殺してますネ」


○○さん
「女将さん 僕ね、ずっといじめに会ってたんです。一番初めは2年の体育の時間、雨がポツポツと降ってきたんで『あ、雨や!』って言うたら、ガキ大将のそいつが『そや、雨や!』って言うて、僕の顔につばをかけて笑ったんですよ。くやしかったですよ。
でも、負ける事分かってたから我慢しました。給食の時のフォークを取られたり、鞄を隠されたり色んな事されて学校へ行くのが嫌で、公園で時間つぶしたりしました。5年生の時、小便してたらそいつが後ろから僕を突き飛ばしたんです。昔は今の様に一人一人の便器と違って、1段高くなった所へ立って、皆並んでおしっこをしたでしょう?」


女将
「そうですよネ」


○○さん
「僕は突き飛ばされて、おしっこが流れる通路にはまって、もうそれまで我慢していたけれど 頭の線がブチって切れて、そいつにかかっていってとうとうそいつを その、僕がされた事と同じ様におしっこの流れる所へ押し倒して 頭や顔を靴で 踏んづけて自分でも何をしてるか分からんかったですよ。気がついたらそいつがワァーワァー泣いてました。」


女将
「えっ!ガキ大将に勝ったんですか?」


○○さん
「女将さん、それからですよ。僕は世の中が変わりましたネ。僕をいじめていた奴は皆 僕の言いなりですよ。やり返しましたネ。」


女将
「どんな事をしたんですか?」


○○さん
「今までやられた通りの事や、遠足の前日に『おい、お前は明日腹が痛い言うて休め』って、遠足行かせんかったり、ネ。」


女将
「そらぁ4年間いじめられ続けてたんやから誰でもそんな気になりますわねぇ。」


○○さん
「ある時は担任の女の先生に呼ばれましてネ、『今迄先生はあんたがいじめられてた事も知ってる。いじめている事も知ってる。それを全部作文に書きなさい。』って言われたんですよ。僕は自分のしている事にむなしさを感じていたので、素直な気持ちを書きました。
そしたら、ある作文コンクールで1位に選ばれたんです。それから、でも、その先生は僕がまたいじめをしないか心配だったんでしょうねぇ。
ずっと声をかけてくれたり 遊びに連れて行ってくれました。あの先生がいなかったら今の僕はいません。感謝していますよ。」


女将
「まあ!礼儀正しく優しいお父さんっていうイメージの○○さんに子供時代 そんな辛い事があったんですか・・・いい先生に出会って良かったですネ。」


○○さん
「そうなんですよ。いやあ、今日はこんなつまらん話をしてスイマセンでしたねぇ。」


女将
「いえいえ、そんな事全然ないですよ。」


○○さん
「やっぱりきっかけって言うのが大事ですよネ。子どもが駄々をこねて泣き止める タイミングを逃して誰かがキッカケを作ってくれるのを待ってる様な事ってありますもんネ。それとよく似てる様な気がしました。」




  


第9話 赤信号

女将
「この前は息子さんと御一緒でしたが、あの息子さんの考え方、なかなか特異な発想をされる素晴しい青年ですネ」


○○さん
「実はネ、あの息子ネ、『えっ?!』 と思った事があるんですよ。」


女将
「まあ、どんな事なんですか?聞かせてほしいです。」


○○さん
「息子がまだ小さい頃、助手席に乗せてある用事で急いでたんですよ。所が、前の車のカップルがイチャつきもってゆっくり走っとるんですワ。イライラしてたら、前の信号が黄色になったとたん、スピードを上げて渡ってしもたんですよ。」


女将
「まあ、そんな事されたら急いでる時はなお、腹が立ちますネ」


○○さん
「そうなんですよ。 『普通に走っときゃあ 充分渡れたのに あのボケは!!』ってブツブツ ボヤいてたんですワ。」


女将
「分かります、その気持ち。それで・・・?」


○○さん
「そしたらネ、息子が、5歳くらいやったんかなぁ。『お父さん、次は1番や!』って 私に言うたんでネ、(あ、そうか。1番か。)
息子の一言でイライラが消えまして、(こいつ、なかなかええ事言うなぁ。) 思い乍ら、息子の頭をなでてやり、自分を反省しました。」


女将
「凄い発言じゃないですか・・・私も今度から急いでいる時 赤になったらそう思う様にしますワ。」




  


第10話 酒を飲むなら

 女将
「○○さん、頬がホンノリ ピンク色になってきましたヨ。」


○○さん
「そうやろ?昔、子どもの頃 灘に住んでたんや。
酒蔵がようさんあってな、ある時学校へ行きしな、酒のタルに錐で穴あけてチュウチュウ吸うて行ったんや。」


女将
「えぇ~何年前の話ですか?」


○○さん
「さあ、65年位 前の話や。」


女将
「昭和18年位ですネ。それで?」


○○さん
「ほんならな、先生が真っ赤になってる俺の顔見て『○○、お前、熱あるのと違うか?今日は家へ帰って寝とけ。』って帰らしてくれてん。ワッハッハ」


女将
「アッハッハ。先生はまさか子どもが学校にお酒飲んで来てるなんて夢にも思たはりませんわネェ。」


○○さん
「65年間ずっと酒飲んでるけど、会社ただの1度も休んだ事ないで。」


女将
「凄いですネェ。でも、さっきの話の中で タルに錐で穴開けて吸うた後 どうしたんですか?バレたでしょう?」


○○さん
「バレるかいな。爪楊枝を穴に突っ込んで先は折っといたら分かれへん。ワッハッハ」


女将
「まあ、何という悪知恵。子ども乍らの完全犯罪でしてんねぇ・・・ホホホ、こわいこと。」




  


第11話 投資

女将
「○○さん、子どもの頃から英語がお好きやったんで、英語の先生になられたのですか?」


○○さん
「ええ、それもありますが 私の場合とてもいい出会いがありましてネ。」


女将
「いつ頃の話ですか?」


○○さん
「大学の時、先生に 『英語の教師になりたいのだけれど』 と相談したのですヨ。
そうしたら、『留学したら?』 と言われましてネ。『私にはそんなお金はありません。』 って答えました。
すると先生は 『自分が若い頃、先生に投資してもらって今現在の自分がある。 君に投資してあげるよ。
返す必要はない。僕が君にしてあげた様に、君が誰かに投資してあげればそれでいいじゃない?』 」


女将
「凄い人といい出会いがあったのですネ。運も実力の内と言いますもの、
それだけ先生に見込みがおありだったのでしょうし、その先生も誰かにしてあげたかったのでしょうねぇ。」


○○さん
「そうなんです。今、私がその心境なんですよ。ある生徒に 『留学しろ』 って言ってるんです。『返す必要ないから』 って。」


女将
「そんな素晴しい輪が、ずっと繋がるといいですネ。そんな形で次々と伝われば素晴しいですネ。」


○○さん
「ハイ、そうなってほしいと思っています。」


女将
「本当にいいお話を聞かせていただいてありがとうございました。」



  


第12話 エクボが〇〇に

女将
「○○さん、その頬のキズどうされたんですか?」


○○さん
「いやあ、恥ずかしい話だけどネ、ヒゲソリをしていてカミソリで切ってしまってネ。
僕は昔、エクボがあったんだけど年いくとネ、それがしわになってしまったって言う訳。」


女将
「まあ、エクボがしわになるのですか。ホホホ。電気カミソリは使わないのですか?」


他のお客さん
「やっぱりカミソリの方が、後 気持ちがいいよネ。それで逆剃りしたらスッキリするのヨ。時間がないときは電気だけどネ。」


女将
「やっぱり年がいくとしわが出来て当然ですけど、気がついた時一寸ショックですよネ。」


○○さん
「そうやねん。」


他のお客さん
「そうそう。」




  


第13話 戦争

 ○○さん
「戦争へ行ってた時なあ、よう棒で尻をなぐられたワ。」


女将
「えっ 戦争に行ったはったんですか?」


○○さん
「行っとったでぇ。初めはもろにどつかれとったけど、だんだん上手いこと どつかれるコツが分かってきてな」


女将
「えっ うまくどつかれる方法って?」


○○さん
「『一列に並べ!』って言われたら、初めから腹巻を尻まで下げとくんや。 」


女将
「少しでも布が分厚い方が痛くないですよネ。」


○○さん
「そうや。ほんでな、尻に当る瞬間に一寸尻を前へやるんやけど、そのタイミングが難しいんや。
早すぎてもあかんし、遅かってもあかん。棒が当る瞬間やないとあかんねん。ほんで、痛そうにするねん。」


女将
「そらぁそうですよネ。叩いてもないのに、叩かれたかっこうしてたら1発が2発になりかねませんよネェ。」


 ○○さん
「2発どころか『きさま!!』言うてボコボコにやられるワ。」


女将
「ホント、戦争って残酷やし無意味ですよネ。絶対してはいけない事ですよネ。
私ネ、羽曳野古市小学校の6年生の卒業の寄せ書きに『世界中 手をつなごう』って書いたのを今、思い出しましたワ。」



  


第14話 愛があるから

女将
「お二人で何のお話したはりますの?」


○○さん
「あのネ 昨日家に帰ったら嫁さんが『息子が宿題せんと寝た』って言うもんだから『今すぐ起こして来い』って言ったんよ。」


女将
「何時頃ですか?」


○○さん
「11時過ぎてたかなぁ・・・」


女将
「まあ、かわいそうじゃないですか。・・・確か小学校1年か2年では?」


○○さん
「女将、そんな問題じゃないよ。それでネ、眠たがる息子に言ったの。
『宿題せんと寝て、明日後悔するのはお前やで。分からんところがあったらお父さんが教えてあげるから今からしろ!』
って自分でさせたの。そしてネ、全部終わった後、抱きしめて『眠たいのによく頑張ったなあ。』って頭をなでてやったんや。 」


女将
「ワア凄い!私 聞いてて涙出そうになりましたワ。それ以来息子さんは絶対宿題せんと寝る事がなくなったでしょうネェ。」


○○さん
「そう、その通り。予習もする様になったよ。」


女将
「何でも最初の対応が大事なんですネ。○○さんが宿題終った後、偉かったな!って抱きしめて頭をなでてあげたって言わはった時ネ、厳しいしつけをした後、ちゃんとフォローしたはるなぁと思って胸がつまりました。」


○○さん
「そうよ、厳しいのは愛があるからよ。」


女将
「改めて、『ステキなお父さん!』」



  


第15話 お母さん

○○さん
「女将さんはいつも元気やな・・・」


女将
「元気なだけがとりえです」


○○さん
「私の母はもう他界しましたが、そりゃあ元気でしたよ」


女将
「何才でお亡くなりになられたのですか?」


○○さん
「87才でしたが、72才でカナダのナイアガラの滝へ行ってネ、凄く感動したらしく『世界3大の滝を制覇する!』って言い出しましてネ」


女将
「まあ、頼もしいじゃないですか。それで・・・」


○○さん
「次はブラジルのイグアスへ行きましたよ」


女将
「何才でしたの?」


○○さん
「79才でした。我々子供連中で止めたんですが1人で行きましたよ」


女将
「凄いお母さんですネ」


○○さん
「残された、アフリカのビクトリアへ行くって言った時は、行かせなかったんです。年も年だからって・・・」


女将
「そりゃあ ご心配ですよネ」


○○さん
「ええ。でも今になって思えば行かせてやったら良かったなぁ、と後悔しています」


女将
「でも、子供として当然の選択をされたと思いますよ」



  


第16話 子育て

女将
「社長はホント、いい性格されてますネ」


○○さん
「人生楽しく生きないと損だよ。こうして仲間と笑って酒が飲めて・・・私は幸せと思ってるよ」


女将
「皆さん心の底から楽しんだはるのがよう分かりますワ。聞いてるだけでこっちまで楽しいです。類は友を呼ぶって言いますやんか」


○○さん
「ありがとう。私は両親に感謝しとるんよ。この様な性格に育ててくれた事に対してネ」


女将
「そうですネ。『子供は育てた様に育つ』って言いますもの」


○○さん
「そうよ。だから私も子供達をいい性格に育ててあげたいと思ってるし、皆 子供達仲がいいよ」


女将
「ホント、そうですよネ。親にとって子供達同志仲が良いと言うのが一番の望みですものネ。
でも、社長の様に財産がある家は遺産相続で揉めるんと違いますか?」


○○さん
「だから、結婚したら子供達に『財産放棄の書類』に印を捺さしてあるのよ」


女将
「えっ? それで解決しますの?」


○○さん
「するよ。親が法律に詳しいから・・・もっと聞きたい?」


女将
「私には縁の無い事の様な気がしますので、よろしいわ。けど、子供の性格は小さい頃の育て方で変わると思います。
以前あるスーパーで4才位の女の子と、6才位の男の子のお母さんが買い物で忘れたものがあったのか、その子らをベンチに座らせてその場を去ったんです。そしたら4才の女の子が『お母さん』って泣き出したんですよ。すると、6才位の男の子は『泣くな!』『泣くな!』って言いながら頬っぺを何回も叩くんですよ。
お母さんはすぐ戻って来られましたが、いつも子供が泣いたらすぐ叩く人なんやなぁ、と思いましたネ」


○○さん
「そんなお母さんに育てられた子供は暴力を振るう事を悪い事とは思わんと人を平気で傷つけるんやな・・・」


女将
「そうなんでしょうねェ。お父さんと接する時間は少ないから、やっぱりお母さんの子育て意識というのは本当に大事だと思いますネ」



  


第17話 であい

○○さん
「昨日も今日も送別会でなぁ」


女将
「まあ、お疲れ様でした。あんないい所に就職されて・・・さぞかし優秀な学生さんだったのでしょうねぇ」


○○さん
「わしなぁ、高校出て田舎から1人上京して、ある大きな会社の臨時職員の試験を受けに行ったんや」


女将
「はい。それからどんなドラマがあったんですか?」


○○さん
「ほんならな、その時の面接してくれた人が『君はまだ若い。臨時職員で満足する様ではいけないよ。
しっかり勉強して、きちんとした所へ就職しようという気にならないと・・・』って言ってくれたんや」


女将
「いい人に面接してもらったんですネ。でも成績が良かったから勿体ないと思ってくれはったんでしょうねぇ」


○○さん
「そら分からんけど・・・それからわしは夜間大学へ行って猛勉強したなぁ。ほんで今の職場に就職したんや」


女将
「その人との出会いがなかったら生き方も違っていたでしょうね」


○○さん
「そうやで・・・今でもその人に感謝しとるよ」




  


第18話 同窓会

女将
「あら、今日は今頃からええ調子ですネ」


○○さん
「そうや。昼から飲んでまだ飲み足らん言うて、この有様や。」


女将
「皆さんご機嫌ですネ」


○○さん
「同窓会でこいつとは30年振りに顔合わしたけど、いっこも変わっとらんかって、すぐ分かったで。昔と同じおもろい顔や。ククク。」


女将
「同級生っていいですネ。気持ちがその時代にタイムスリップ出来るんですもの」


○○さん
「よう悪い事して先生に怒られたワ。けど、今みたいに陰湿な事せんかったワ」


△△さん
「そやそや。先生に怒られても家へ帰って親に言うたら『お前が先生の言うこと 聞けへんからや!』ってまた怒られるもんな。絶対言わんかったなぁ」


女将
「そうですよネ。親は注意してもろたらありがたいと思わんといかんのに学校へ文句を言いに行くっていう時代やから、先生もやりにくいですよネ」


○○さん
「ほんで、あの時分の先生って味があったなぁ。怒られても好きやったもん。」


女将
「この前私も同窓会があって行ったんですよ。そしたら男子生徒が 『くんちゃん覚えてる?国語の先生が「雪の降る朝は暖かい」って言うもんやから、僕が「先生、そんなことないと思います。やっぱり寒いです。」って言うたら、君ちゃんが手を挙げて「私もそう思います。」言うたんや。そんならな、4人も5人もそう思う言うて手を挙げだしたら先生が怒ってしもて「指導書にこない言えって書いとるんじゃ!」みんな大笑いした事あったやろ』って。」




  


第19話 孫

女将
「○○さんのお孫さんはおいくつでした?」



○○さん
「小学校1年になった。けど、かわいいなぁ。爺ちゃん爺ちゃん言うてくれるワ。
 嫁さんは、孫が帰ったら嗚呼ヤレヤレ言うてるワ。」


女将
「日頃、静かな日々を過ごしたはるお二人やから、疲れはりますわネ。孫は来て良し、帰って良し、って」



○○さん
「ほんで、帰るときの娘の荷物の多い事・・・。又、嫁さんもいっぱい持って帰らそうと、山程貯めとるワ。」


女将
「奥様も、お嬢様もそれが幸福なんですよ。それを見てはるご主人も心地良いのでしょう?」



○○さん
「そらぁ、悪い気はせんけど・・・この前ラジオで浜村淳がしゃべってたけど、参観日に母親が行ってんて。
ほんならな、子供が手をあげようかあげよまいか、モタモタしてたらしいワ。家に帰ったら母親が
「○○ちゃん、分かっている時は自信を持って手をあげなさい」って言ったら、あくる日
「先生、自信って何?机の中捜してもない」って言うたんやって・・・かわいいなぁ」


女将
「うちの4才の孫も、嫁さんが「あんた、今日は目が固いなぁ」って言うたら、人差し指で目を突いて、
「固くないよ、柔らかい。痛い!ワーンワーン」かわいいですネ」



  


第20話 嫁はんと娘の喧嘩

○○さん
「お母さんとこは娘さん3人おってんなぁ?」


女将
「そうですよ」


○○さん
「僕、嫁はんと娘の気持ち分からへんわ」


女将
「何かあったんですか?」


○○さん
「昨日もな、応接間で独り飲んどったんや。
ほんならな、息子が 「ウ~ ウ~ 空襲警報、空襲警報」言い乍らカレー持って入って来たんや」


女将
「ええ、それって状況は分かりますけど、どういう事なんですか?」


○○さん
「いつもの事やけど、嫁はんと娘な、よう喧嘩するんや。又か、思て 放っとくんやけどしまいに腹が立ってきて
「お前らええ加減にせえ!うるさい ホンマに」って怒鳴ったんや。ほんならどない言うたと思う?」


女将
「何もそんな怒らんでもええやんって?」


○○さん
「そう、その通り。ほんでな、今まで二人喧嘩してたくせに
「何でこんな事位でそんな怒るん?お父さんおかしいわ」って二人で僕を悪者にするんやで…訳分からんワ…」

女将
「お父さんが悪者になって二人仲直り出来るんやったらそれでいいやないですか?○○さんもまんざら悪い気はしてないんでしょう?」


○○さん
「まぁ、そやけどな…。けど、よう分からんあいつらは…」